虹色鉱石
「その赤い酒の味」を作った時の覚書と、あとがき。
初めに、このシナリオは、作るのに一年半近くかかっています。
半分以上自分の為のもので、作った本人も色々忘れているので変なことを書いていたらすみません。
・作ったきっかけ
メインPTの皆がレベル10になった時、新しいPTを作ろうと思い立ちました。
「対応が沢山あるらしいから新しいPTには吸血鬼PCを入れよう」と決めた時に、どんな背景があってこの吸血鬼はPTに入ったのか、を考えて…。
その時に「あれ? このPT加入の話、ちょっと時間軸ずらして冒険者が絡むように手直しすればシナリオに出来るんじゃない?」と思ったのがきっかけ。
――なので、主要NPC3人は、私のPCです。
〇まずしたこと
ストーリーをざっくり考えました。
ここだけは外したくない箇所をメモ。
今回のシナリオの場合、具体的には
・依頼内容は行方不明者の捜索
・依頼人は死霊術師
・捜索対象は吸血鬼
・二人は親友
・シナリオ終盤まで二人の正体は伏せる(匂わせは思い切りする)
・出来るならマルチエンドに
・吸血鬼NPCが酒豪設定なのでストーリーにお酒をからませたい
他にシステム面では
・PCの雑談をいっぱい入れたい
・吸血鬼PCを人間に戻すアイテムを作って配布したい
・KC対応をやってみたい
という感じでした。
ストーリーを考えつつ、こんなセリフがあったらいいなと思い浮かんだら、脈絡なくても良いのでメモ帳に書きなぐりました。
思い付きと勢いは大事です。多分。
ストーリー的に戦闘を入れると分かった時点で、対象人数とレベルを決めました。
今回は吸血鬼が出、駆け出し冒険者には荷が重いと思われるので
レベル6前後、対象人数はフルの6人にしました。
〇エディタを触り始めて…
まず、口調、一人称、二人称を設定出来る導入画面を作ります。
テンプレートを使えば簡単だと思うのですが1.50用で6人設定できるテンプレートは、私には難しくて使い方が分かりませんでした…。
なので、前作ったシナでお世話になった2人用テンプレートを参考にして6人用の設定を組みました。
バグと格闘しながら何とか組み上げましたが、6人全員に役職を振らないといけないという、使いにくい物になってしまい…急遽6人分の配役を考えました。
リーダー、参謀、調査役、は外せない。吸血鬼とか死霊術師が出てくるから聖職者がいると良いかな。場を和ませるマスコットも入れて、残りは…なんだろう?
とりあえず仮処置として役名を「フリー」として完成間近まで放置しましたw
台詞が全部出来上がった時点で見直したところ、真面目そうな発言が多くなったので「常識人」という役名になりました。
それから対応したいクーポンを考えて、シナ本編中での反応に使う時限クーポン配布を組みました。
ストーリー的に吸血鬼と死霊術師は外せない。
薬局に行くシーンがあるので医師、薬剤師、その辺の知識持ちも。
もしかしたらリビングデッドや精霊術師もいる…かな? と
思いついたものはとりあえず全部組んでおきます。
(後で精霊術師対応は削除しました。基本行き当たりばったりなのでそういうこともよくある)
〇シナリオ本編作成
設定画面が出来ました。本編を作ります。
下準備として、張り紙・現時点で必要なエリアを作り、カードや背景の素材を集めておきます。
素材製作者の皆さま、いつもありがとうございます!
張り紙は別に無くても良いんですが、私は一つ何かを組むたびにテストプレイをしているため、それっぽいのが出来てるとモチベーションが上がります。
…音楽? 選ぶの苦手なので最後(先延ばしするタイプ)。
後はエリアに合わせた文章などをひたすら打ち込んでいきます。
基本は下書きを見ながらですが、私の下書きは大抵細切れ状なので文章の半分くらいは打ちながら考えています。
そんな感じだと当然、作っているうちにストーリーも変わってきます。
初めにの構想にはあった盗賊ギルドでの聞き込みがエリアごと消えて、情報をくれるNPCも数人いなくなり、最後に捜索対象がいる場所も、街の近くの遺跡から醸造所に変更になりました。
依頼人の設定も変わりました。
当初は、依頼人とその娘は、歳のかなり離れたいとこ同士、という設定だったのですが、色々説明がめんどくさいのでシンプルに親子になり、さらにPCさん達に依頼を持ち掛ける理由付けとして隻脚に。
それによってまたストーリー詳細を練り直し…。
当初考えていたものよりもシンプルになりました。
あとは、クーポン対応。こっちも半分くらいはアドリブです。例えば、
市場作った→でも配置したイベント少なくて見た目が寂しいな→そうだ穀物バラまけば吸血鬼対応の会話作れるね!
大体こんな感じで。
脳内で自宿のパーティーを動かして、PCがこの場面に遭遇したらどんな反応をするかな、と想像して作っていました。
街のエリアを全部作ったら、全エリア探索完了時に「進行に必要な情報を手に入れているかどうか」/「入手していなければヒントを出す」箇所を作成。
行き当たりばったりで町部分を組んだので進行管理はフラグとステップが混在、バグの宝庫でしたが何とかしてやっつけました…。うん。動けばいいのです、動けば。
(でも次からは、進行管理は全部ステップで作ろうと思います。きっとその方が後が楽)
探索パートが終わったら、いよいよ分岐部分の作成!
クライマックスだから作ってて一番楽しかった所です~
初めと最後の分岐は「本当にそれで良い?」と確認メッセージが出るようにしました。
だって、特に初めの分岐は、そうしないと勢いで「使う」方がいらっしゃるかも知れないと思って…。
我が宿のPTだったら絶対反射的に使う。
ともかく。
「使う」「使わない」で分岐して、直後それぞれに別の戦闘作って仕込みます。
本格的な戦闘を作るのは初めてで(今までに作ったのは、スキル無しの駆け出しでも楽に勝てる/NPCと一対一)敵が敵を「庇う」挙動に挑戦したりもしました。
作り方やバランスについて沢山アドバイスいただきました。こちらもありがとうございます。
「使った」場合は戦闘に勝てばその先は一本道。テキストを打ち込み、報酬とクリアクーポン配布処理をしてエンド「1」が完成。
問題はここから。
「使わなかった」場合は、戦闘終了後に3ルートに分岐。
「問いたださない」又は「問いただす」+「特定のKCを使わなかった」でエンド「0」へ。
「問いただす」+「特定のKCを使う」+「本当は…」でエンド「2」、
「問いただす」+「特定のKCを使う」+「ただ静かに…」でエンド「3」へ。
ここの分岐と「問いただす」後の「依頼の全容を明かす箇所」が難所でした。
KCで分岐は、どこのツリーに飛んでいくのか見失いそうになるし。どのシーンで何回話しかけたかで反応が変わる台詞とか、全容を明かす台詞を全部聞いたかチェックするのとか、追加報酬の交渉の部分とか…。
もう作るの止めようかな、とか思いました。本当に。
でもここまでやったから完成まで持っていこうと頑張りました。
最後は「出来上がったらウチの子達の話を見て貰えるから!」という気持ちだけだったような気もします。
分岐が完了したらそれぞれの話のテキストを入力して、こちらも報酬とクリアクーポンの配布処理。
音楽を探して付けて、テストプレイをお願いして、目につくバグを直したらようやく公開です。
まぁ、まだしばらくは新たに見つかったバグ修正に追われるのですが。
〇エンディングについてのあとがき
・エンド0
黒宣さん製作「夜半の辻斬り」を遊んだ時、「シナリオの途中でリューンに帰ってしまえるのいいな」と思ったので真似してみました。結果は当然、良い物ではありませんが…。
「この依頼ヤバそうだな」と思ったら撤退できるのも熟練冒険者の能力だと思うのですよね。
・エンド1
バッドエンドを作ってみたかった!
死霊術師や吸血鬼のPCがいると依頼を受けた直後に不穏なことを言い出しますが、あれをはっきり具体的に実現したかったというのもあります。
後味が良くない分、報酬は使いやすそうなものにしてみましたが…報酬を回収に行きにくいかも知れないと少し反省。
・エンド2
平和です。このシナリオを作ろうと思った時に初めに思いついたエンド。吸血鬼クーポン削除のアイテムも配布しますし、一応トゥルーエンドになるんでしょうか。
でも「依頼人が死霊術を二度と使うまいと思っている」という設定が作っているうちに生まれてしまった為に全エンドの中で一番作るのに難儀しました。
薬屋で材料買わせてたし、ゾンビパウダー作って生き返らせるつもりだったんだよ~、最初は。
・エンド3
前述の設定が生まれた為に出来たエンド。個人的には一番気に入っています。
このエンドは、星新一さんのショートショート「古風な愛」を参考にして作りました。親愛の情の一つのかたちが書けていればいいなと思います。
プレイしてくださり、また、ここまで読んでくださって、どうもありがとうございます!